内職の歴史
このコーナーでは内職の歴史を紐解けそうな過去の小説の一文をご紹介させていただいております。
過去を振り返ると色んな事が学べますね。
その3
相手が私と向いあっているような人だけに私は敗北感に似たものを感じ、 嫉妬さえおこしました。露地を出て、家へかえるまで私は信二郎のことを考えつづけました。
映画をみる気も起りません。
この頃、よく新聞に出ている阪神間の婦人方の乱行ぶりの記事がちらと頭をかすめました。
信二郎だけはまっすぐに歩んでほしいのです。
兄様は落伍者、私は女なのですから、始めっから大した希望も抱負もないのです。
信二郎が大きくなってこの家をおこさねばなりません。
家産の傾きを元へ戻さねばなりません。
いやそれよりも信二郎だけでも安定した平和な生活をおくってほしいと思うのです。
私はあの子の力にならなければ。
母様は教育もなく、もう毎日のたべることだけで他のことは考える隙もないのです。
父様も廃人。私は足をはやめました。
門をはいると別棟の茶室の庭で、父の妹の未亡人が火をおこしておりました。
もう何十年か前に主人をなくして、今は中学へ通っている一人の息子の春彦と二人、編物の内職とわずかな株の配当でくらしております。 【比較ベスト編集部のコメント】 編集の内職ってなんなんですかね〜後ほど調査してみたいと思います。
引用原文(落ちてゆく世界 久坂葉子)